第10章

二ノ宮涼介は、自分の足にしがみついている小さな子供を見つめ、その心の奥底に何かが触れたような気がした。唇の端が自然と笑みを浮かべた。

「大丈夫、ただの子供だから気にしなくていいよ」

九条恋は目の前のハンサムなおじさんを見て、ますます満足そうな表情を浮かべた。こんなにかっこいい人がママにぴったりだと思ったのだ。

「おじさん、少しお話ししてもらえますか?ママがまだ来ていないんです」

二ノ宮涼介は少し眉をひそめ、心の中でこの子の両親の無責任さを非難した。こんな小さな子供を病院に一人で置いておくなんて。

「それで、君のママは君をここに一人で置いておくのが平気なのかい?誰かに連れ去られる心配...

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